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スペインの忘れえぬ人々

「忘れえぬ人々」

同名の国木田独歩の名作がある。

「決して、親しく交わった人のことではない。

人生の途中でたまたま出会い、その生き様を垣間見た人々。

さびしい一人旅の船から見た、瀬戸の磯で黙々と海草を採っていた老人。

尾道の雑踏を尺八の音とともに過ぎた虚無僧。」

といった簡潔な名文で綴られている。

同じ教科書、同じテレビを見て、同じことを話すように訓練された民にはいない人々。

永遠に変わらぬ独自の姿で、悠久の天地をともに生きていくと思われる人々。

スペインでは、ほんのの10数分、絵を描いている間に会っただけなのに、

今でも気になる「忘れえぬ人々」がいる。

今、どこでどうしているか、幸せでいるだろうか。

二度と出会うこともなくとも、大地にしっかり足跡を残して、

生き続けて欲しいと思う人々。


マドリードの大道芸人

飛行機が最初に到着するマドリードの街は欧州一の危険都市。

1年で500人の日本人がパスポートを奪われたり強盗にあっている。

僕も車に乗った人相の悪い偽警官に呼び止められたが無視して逃れた。

しかし、慣れてくると夜遅くの雑踏も歩けるようになる。

広場は夕暮れを憩う人たちでいっぱい。大道芸人が音楽を奏で、

恋の劇を演じる。そんな美しいジュリエットを描いた。






キリストに似た巡礼者

貧しい身なりなのに底抜けの人の良さと明るさがあった。

いつもほほえんでいた。皆に好かれていた。

永遠に旅をつづけているような気がする。








サンチャゴ大学の歌い手

広場で歌う合唱団OB。古代の服を着て、一曲歌ってはワインを飲み干す。

人に聴かせるというより、歌うことが嬉しくてといった風情。

ほんとうに、無心に心地よく歌っていた。

男が男に惚れるという初めての体験。

次の世では、この男に生まれ変われたらと思うほどに。




ジプシーのアコーデオン弾き

暮れると寒い人気のない路地で、哀愁のある曲を繰り返し弾いていた。

描いてると、皆が寄ってきてチップを箱に入れた。

ほら、この絵を飾っていたら、人が集まるよとプレゼント。

うれしかったのかゆっくり頭を下げて私が好きだと言った物悲しい曲を弾いてくれた。

生きることは厳しい。しかし好きな生き方を貫いていくのだろう。

今のように寒い季節になったらどうしていることか。




美しい乙女 アンドレア

暑い峠を下って谷あいに近づくと、渓流をはさんだ心地よい巡礼宿。

顔見知りの巡礼が足を水につけてまどろんでいた。ここに泊まろう。

そこに、この美しい娘がいた。

地方に産業の少ないスペインでは高校を卒業しても希望の仕事につける人は少ない。

彼女も、将来の夢を持ちながらも、為すすべもなくて巡礼宿の世話をしていた。

渋谷で闊歩する少女たちに比べると、みなりは質素でブランドにも縁がない。

しかし、まなざしにも、語る言葉にも、彼女らに欠けている

貴婦人のようにしっとりとした気品があった。







  • Posted by 俊介. at 2010年04月12日03:31
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    この記事のコメント

    怪優といわれた 故天本英世さん

    スペインが好きだったようですね

    彼は石田純一の父親と同級生で

    戦争中にしては自由な教育を

    受けたそうです。
    Posted by めたぼん at 2010年04月13日 13:40
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      コメント(1)